弘法大師(こうぼうだいし)は、平安時代初期の僧で真言宗の開祖、諡号(しごう)を空海(くうかい)と言います。
自分はこのところ、神社仏閣を訪問して参拝することが多くなりましたが、必ずと言っていいほど、このお方のお名前や像を目にする機会が増えました。
恥ずかしながら、あまり詳しくは存じませんでしたが、この方の存在が気になり、ほんの少しですが勉強させていただきましたよ。
まず、中国より真言密教をもたらし、書家(しょか)としても嵯峨天皇(さがてんのう)、橘 逸勢(たちばな の はやなり)と共に三筆(さんぴつ)呼ばれる日本の書道史上、最もすぐれた3人のひとりにあげられます。
空海が伝えてきたものは、ご存じのとおり「密教」の教えです。
何か凄すぎて、近寄り難いお方のように思えましたが、この方の教えがとても素晴らしいので、一気に親近感がわきました。
どんな教えかと言うと
『即身成仏』(人間は、この肉身のままで究極の悟りを開き、仏になる、成仏することができる) と言うことです。
悟りを開いて仏様になるということは、とても大変な修行をしたり、善行を積み重ね、何世代も生まれ変わりながら厳しい道のりを超えて到達するものだと思っていました。
しかし、空海はこう考えています。
『全ての人間は、仏様になりうる種子を身体の中に秘めているので、肉身のまま即時に成仏することができる』
老若男女問わずでしょうか?それも、即時に?
性善説のような教えですが、不思議と納得してしまいます。
そして、これこそが、真言密教の根幹ともいえる『即身成仏』の教えてだと言われています。
ただ、この教えに疑問もあります。
どうやって、『肉身のまま即時に成仏する』ことができるのでしょうか?
自分達は、現在のこの世界、社会の中で生きています。
そして、誰もが仕事をして生活をしています。生きて行くだけでも大変です。修行僧のような生活とは、無縁だと思います。
その自分達がどうやって、『肉身のまま即時に成仏する』ことができるのでしょうか?
「絵に描いた餅」のように理想だけの教えだと、最初は思いましたよ...
でも、空海は悟りについて、こんな風に教えてくれました。
悟りとは、ありのままの自分の心を知ることである
何か、少し前に流行った「アナと雪の女王」みたいですよね。
「ありのままの自分の心」とは?
あなたは、お年寄りや身体の不自由な方が電車の中や街中で困っている時に声をかけて、席を譲ったり、助けてあげたりできますか?
あなたは、自分自身の行いを顧みず、反省もせず、惰性に流され生きていませんか?
そんな自分の心に目を向けて、その弱い心を知って、反省することが大切なことだと、教えてくださっているようです。
これは、真言密教の「如実知自心、(にょじつちじしん)」という教えだそうです。
弱者をいたわり、自分の脆弱な心の弱さと常に向き合うことが悟りへの道だと...
そこには、厳しい修行や密教の真言や呪文もいらない...
人としての良心(仏様になりうる種子)を育ていくことが悟りにつながるそうです。
全宇宙の構成する要素の中に人も仏様も一緒に存在する。
全宇宙の構成する根源的な要素が同じであれば、仏様と一体化し、悟りを得ることができる。
大日如来(万物の慈母)の慈悲にすがることができるようになる。
素晴らしい教えだと思います。
ただ、自分の脆弱な心の弱さと常に向き合うことだけが、悟りへの道なのでしょうか?
自分には、この悟りを開くための要素がもう一つあると思います。とても大切な要素が...
それは、心から楽しんで笑うことではないでしょうか?
いつでも、微笑みを絶やさず、幸せ感じて、享受出来ることが、自分の心と向き合う、強い心を育ててくれるのではないでしょうか?
自分達は、空海が生きた時代とは、違う時代に生まれました。
そして、今現在、この時代だって、生きて行くことが厳しい時代だと思います。
だから、空海の教えに感銘し、花束を贈りたい気持ちなりました!
弘法大師様!
あなたは、笑っていましたか?
心の中から笑って、楽しんでいましたか?
自分は、心から幸せを感じて生きて行くことを望みます!それが必要だと感じます!
ただ、その先にあるものは、悟りなのか?真理なのか?
それは、『神のみぞ知る』なのかも、しれませんね...
身は華と与に落ちぬれども、心は香と将に飛ぶ。
現世で沢山のお金を得ても、天国へは持って行けない。
人生の中で磨きをかけた人格は消えることがなく、
人間の完成された人格の香りは、どこまでも周りに広がる。
~空海
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